みなさん、こんにちは。ベルリン在住の料理研究家、島崎ともよです。
今日は、オンライン料理教室のメンバー様からよく来る「小麦粉」に関する質問にお答えしていきたいと思います。
「ドイツ在住なのですが、小麦粉の違いで日本にいた時のようにお菓子作りができなくなりました。」「薄力粉を切らしているのですが、余っている中力粉や強力粉でスポンジケーキは作れますか?」
といった類の質問を、これまで何度もいただいてきました。
普段、何気なく使っている小麦粉だと思いますが、選び方やその特徴を知っているのと知らないのとでは、出来上がったお菓子に大きな違いが出てくるものです。
これは、日本・海外関係なく、世界中どこに住んでいても知っておくとよい知識です。まずは小麦粉の特徴を理解していただき、みなさんがおいしいお菓子が作れるようになれたら幸いです。
全文はメンバー様のみに公開です。ご了承ください。
ドイツには薄力粉がない!?
本題に入る前に、日本にお住まいの方は、あまりご存じないと思うので豆知識としてお話ししておくと、私が住んでいるドイツには「薄力粉」「中力粉」「強力粉」という分類がなく、そもそも日本でいう「薄力粉」に分類される粉はほぼ手に入りません(私は見たことがない)。おそらく、そういう欧州の国はいくつかあり、現地在住の日本人がその違いに奮闘されている様子を度々目にします。
小麦粉選びで大事なのは、タンパク質と灰分の含有量
早速話を進めてまいりましょう。
小麦粉の主な成分は、全体の70-75%を占めるデンプンですが、お菓子やパン、麺などを作るときの重要な要素となるのは、タンパク質と灰分の含有量です。
日本では、一般的に小麦粉の「タンパク質量」によって分類しており、タンパク質量の少ない順から「薄力粉」「中力粉」「準強力粉」「強力粉」に分けられます。
一方で、ドイツやフランスでは、「灰分(かいぶん)の含有値」で小麦粉を分類します。灰分が多いと小麦の味が強いグルテンの多い「黒みの強いパン」となり、少ないと小麦の味が弱いグルテンの少ない「白いパン」に仕上がります。Type+数字で粉の分類をしますので、日本とは全く異なった基準での分類になるわけですね。
「薄力粉」「中力粉」「強力粉」の違い
わかりやすいように、日本の基準で書いてみることにします。上記にも書いたように、日本では主に「タンパク質」がどれくらい含まれているかで、薄力粉、中力粉、強力粉に分類されます。
- 薄力粉(タンパク質含有量:約7-8.5%)
- 小麦粉の中で最も薄力で、タンパク質の含有量が低いため、粒子が細かくしっとりしていてダマになりやすい。レシピに「ふるっておく」という指示があるのはこれが理由。
- ケーキやクッキーなどの焼き菓子向き。ふわふわやサクサクに仕上がるので、お菓子作りといったらタンパク質量がこの範囲のものを選べば間違いない!天ぷらも薄力粉を使う。一方で、パンやうどんなどのもちもち感が必要なものには向かない。
- 中力粉(タンパク質含有量:約8.5-10.5%)
- 薄力粉と強力粉の中間のタンパク質含有量を持つ粉で、粒子は細かい。
- うどんや乾麺、一部パン生地のような、もっちりとした食感が必要なものに向いている。
- 薄力粉と混ぜて少し生地に弾力を出したいお菓子作りの際に使用。
- 準強力粉・強力粉(タンパク質含有量:約10.5-13.5%)
- 小麦粉の中で最もタンパク質の含有量が多く、粒子が荒くサラサラ。
- フランスパン、ハード系のパン、中華麺や麩など、もちもちとした食感を求められるものに向いている。
- お菓子作りでは、パイ生地や打ち粉として使う。