今月も、妄想あさこ食堂へようこそ。gozenのメンバー兼スタッフ(コンテンツクリエイター)のAsakoです。

「妄想あさこ食堂」とは
gozenのコミュニティメンバーさまが主人公となった読み物です。その方の暮らし方や考え方を覗き見ることで、新しい視点を見つけたり、勇気や力、ヒントが得られるかも!コラムの最後には「もしこの主人公が、架空のあさこ食堂に来てくれたら」を妄想しながら、メニューを考えておもてなし。時にはレシピもシェアします。

今月の主人公は、gozen1周年を記念して、ともよさんをお迎えします。

ともよさんにとっての、ナチュラルフード

「ナチュラルフードにこだわってはいない。正直、それはどちらでもいい。」

ともよさんは言わずと知れたこのgozenの主宰者であり、ドイツ・ベルリン在住の”ナチュラルフードスタイリスト”。彼女とのインタビュー、初っ端から虚を突かれた気分になるひと言。肩書きになっているナチュラルフードにこだわりがないと?これは彼女の新たな一面が見られそうだと期待が高まる。

「ナチュラルフードにこだわるあまりに考えが偏り過ぎているひとの、肩の力が抜けるきっかけになれたらいい」そう続いた言葉に、ともよさんの世界観の神髄を見たような気分になった。

”ナチュラルフード”、無添加や健康志向の食というとどこか食材が限定されたり、味付けに物足りなさを感じたり、というイメージが付きまといがち。でもともよさんのレシピは、体を想った食材や調味料を使いながらも、心まで満たされる美味しさ。健康のために舌を我慢させる、という感覚が一切なく心身共に喜ぶ味。それがわたしの彼女のレシピと出会ったときの所感だった。そうか、ともよさんにはそんな確固たる想いがあるからなんだな、と冒頭の彼女の言葉が胸にすとんと落ちてきた。

乱れた食生活からの、目覚め

さらにともよさんの口から発せられたのは、実は誰よりも添加物を摂ってきた自信がある、という意外な過去の告白。就職後、バリキャリ女子として早朝から深夜まで働いていた会社員時代。朝はコーヒーショップで買ったサンドイッチとコーヒー、昼も夜もコンビニフードをデスクで食べながら日付が変わるまで仕事に勤しむ。そんな生活を続けて5年ほど、ある日体が悲鳴を上げる。体調不良を改善するための薬、その薬の副作用を抑える薬…薬がまた新たな薬を呼び、処方される薬は日を追うごとに増えた。多忙な仕事、時間がないから添加物まみれの食事を続けながら、掌一杯の薬をお菓子を貪るように服用する生活。そうして薬を服用すれば治ると信じていたのに、体調は悪化するばかり。そんなときたまたま出会った、断薬の本。本を片手に自分で断薬計画を立て、着実に実行していったという。やると決めたら一直線、着実に実現していくともよさんらしいエピソード、なかなか出来ることじゃない。

自身の体調不良により食の重要性に目覚めたこと、さらに旦那さんもオーガニックスーパーに関わる仕事に携わったことで、冷蔵庫やパントリーの食材を一掃して入れ替えることから島崎家のナチュラルフード生活は始まった。慣れない料理ゆえに、Webで自然派思考のレシピを検索して作ってみるも…悲しいほど美味しくなかった。添加物に慣れた舌には物足りなかった、というのもあったと思う。けれど、健康に良くても、気持ちが満たされないのでは意味がない。そこから体も心も満たされる食事作りへの、彼女の貪欲な挑戦が始まった。

この原点があるからともよさんのレシピで提供される味はいつも、純粋に美味しいんだなと腑に落ちる。食べる楽しみ、美味しいから幸せ、彼女のレシピには徹底して食の大切な根源が詰まってる。

決めたら一直線

第一子を授かりそれまでの仕事を退職して滋賀へ転居したころから、社会との繋がりを求めて食に関する情報発信を始めた。生産者や農家に取材をして食のリアルを伝えていく、現実を見るとさらにナチュラルフードへの想いは高まっていった。今振り返れば少し、肩に力が入り過ぎていたな、と思うほどに。

結婚以来ずっと、子どもたちが広い世界を体感しながら人生を歩めるように海外移住したい、という希望を夫婦で共有してきた。その希望は、ナチュラルフードの学びを深めたい欲と共に高まっていく。子どもたちが少し大きくなったら、そんなぼんやりとしたイメージを持っていた移住のタイミングは、第二子妊娠中に急展開し夢は現実となる。

いつか、と思っていたらその「いつか」は来ないかもしれない、思い立ったときが動くとき。出産直前のともよさんに降ってきたそんな想いに導かれるように、移住への準備を開始。海外移住するには、といった入門的な調査から始まり、荷造りや引越しまで、出産という大イベントを跨ぎつつ意思決定から移住まで半年ほどで済ませたという。それを聞いて思わず、「猪突猛進」というキーワードがわたしの口から溢れる。

やると決めたらもう誰にも止められないのだと、ともよさんは軽やかに笑う。子どもの頃から、自分でやりたいことが閃くと頭の中には一気に妄想世界が広がるのだそう。何ですと?ともよさんも妄想仲間⁈わたしの妄想アンテナがビビッと反応する。笑

誰から見ても非現実的な妄想世界、その中で自分の在りたい姿ややりたいことをイメージしていく。その世界観を現実にするに何をするべきか、そんなイメージからやりたいことを見出し進むべき道を決めてきた。ひょっとして同じ妄想族?という気持ちが湧いたことが恐れ多くなるような、妄想を現実に繋げていくともよさんのスキルに驚く。彼女はそうして着実に、自身の夢を叶えてステップアップしてきた。

食べること、生きること

ビオ大国ドイツに移住して以来、ともよさんのナチュラルフードへの感覚はさらにひと皮剥けていく。日本では「自分の健康のために」ビオ製品を選んできたけれど、渡独してみたら現地の人びとは「環境や動物愛護のために」ビオを選択していた。選ぶ商品は同じでも、全体最適を意識して選択する感覚に目から鱗が落ちたという。

日本でナチュラルフードを共に学んだ知人の変化もまた、ともよさんの食への意識に大きな影響を与えたのだそう。「ビオでなければ」というマスト思考が過ぎて精神が蝕まれてしまった様子を見たら、食の内容そのものよりも、それを食べる心持ちのほうを重視するようになった。どんな気持ちで作り、食べ、どのような心持ちで生きていくか。彼女自身もまた、ビオに傾倒しすぎて窮屈さを感じていた時期だけに、この意識の変化はともよさんにとって大きな転換となり、またそれ以降の指針ともなっていく。

「もっともっと幸せに、心豊かに生きていけるひとが増えてほしい。そんな想いを伝えるためのツールがたまたまナチュラルフードだった。」ともよさんがさらっと放ってくれたひと言。ナチュラルフードっていいかも、と思わせてくれるレシピにも、日ごろ頑張って噛みしめていた奥歯を解放してくれるようなコラムにも、彼女のいい具合に抜けた肩の力が露になっている。

家庭の冷蔵庫に入ってる食材で気負いなく作れて、そこにちょっとしたコツやエッセンスをもって普段の食卓をひとつ格上げしてくれる料理たち。料理に苦手意識があるひとでも、長年家族のために料理をしてきたひとでも、日々の食卓が彩豊かになり、食事を囲む人びとの笑顔が増えることは作り手としてこの上ない幸福感となるもの。そんな幸福感はきっと、作り手や食べ手だけでなく、それらの人びとと関わった周囲にまで波及していく。

ともよさんの切なる願いは、着実に世界中に広がり、叶い始めてる。今後もさらに、彼女が持てる高い波動がgozenを、食を通じてさざ波のように全世界の幸福度を底上げしてくれるさまが想像できるようで、とても楽しみ。

今月の妄想あさこ食堂

ともよさんをお迎えした今月の妄想あさこ食堂は、キーマカレーのランチ。実はともよさんがこのコラムの主人公になるときにはこのカレーを、と密かに心に決めていたもの。彼女と始めてマンツーマンで話をするチャンスがあったとき、ともよさんがミルクティーを、わたしはこのカレーを作りながら交わした他愛のない会話をきっかけに始まったこのコラム。主人公の方々の人となりに光をあて文章で表現していく、そんな作業を通じてわたし自身の人生観も世界観も確実に育まれてきた。そんなきっかけを共有していたキーマカレーをともよさんとご一緒できたらな。

もちろんカレーには、ともよさんレシピの代表作!無添加カレールーを使って。

一緒に添えたのは、寒い畑でもエネルギッシュに育ったレタスやわさび菜、水菜をレモンドレッシングのサラダ仕立てに。そして、新じゃがをカリッと焦がした揚げないフライドポテトも。このポテト、実はわたしがともよさんを始めて知るきっかけとなったレシピ。これをきっかけにInstagramでともよさんをチェックするようになった数年前、まさかこんな風にともよさんについてのコラムを書ける日が来るなんてね。だから食べるって、生きるって本当に面白い。

デザートには、カレーの後になぜか欲しくなるヨーグルトを。バニラアイスクリームと一緒にヨーグルトを彩るのは黒豆の甘煮、少しだけ日本のお正月気分をデザートに添えて。

1年前ともよさんのInstagramでgozenのメンバー募集の記事を見たとき、脳内がビビビビッと痺れたのを昨日のように覚えてる。「あなたの家だけのレシピ集を作りましょう」というコンセプトにも、開始一発目のレシピが塩だけのスープというところにも、ともよさんの食や生き方への、一本筋が通った潔い姿勢が表れているようで毎度やられたなとクラクラする。そしてレシピに留まらず、ドレッシングに使ったレモンのオリーブオイルやデザートにトッピングしたフレークソルトのように、彼女が発信してくれる食に関するエッセンスは、我が家の食卓をセンスアップするだけでなく、生活や自身の中に取り入れるすべての物への意識を変えてくれている。そんな日々の生活で積み重ねられる小さなことがきっと、人生全体の豊かさに繋がっていくのだと思う。

きっとgozenって、そんな場所。

1周年、おめでとうございます。そして、いつもありがとうございます。

中村 亜紗子ヨガインストラクター|ライター

京都市内で息子2人と娘、旦那さんの5人暮らし。会社員を辞めて始めたヨガにハマり、インストラクターに。ヨガを通して、日々の幸福度をいかに高められるかを模索中。当て所ない散歩、美味しいものや美しいもの探し、頭の中で妄想世界を築くのが好き。

Webサイト: https://note.com/bebest_asako