みなさん、こんにちは。ベルリン在住の料理研究家、島崎ともよです。

今日のコラムは、料理を作る側のみなさんに書く内容ではないかなと思いながら、いや!料理を作るみなさんだからこそ、料理を作る人の心情を再確認しておいて欲しいな思い、書くことにしました。

今日は、作り手の気持ち、食べる側の気持ちをいったりきたりしながら、双方の気持ちを見つめてみたいと思います。

みなさんが家族やパートナーとの食事の中で、嬉しいと感じることはなんでしょうか。

ご飯を楽しみに待っていてくれる。
「ご飯だよー」の言葉に一目散に食卓に集まってくる。
おかわりする。
黙々と無心に食べてくれる。
ありがとう、おいしかったといってくれる。
また作って!といわれる。

作った自分の存在が、ちゃんとリスペクトされるような態度や言葉が返ってきたら、嬉しいと感じるはずです。上に書いたことは、本当に些細なことだと思いますが、あるとないでは大違いですよね。

それはなぜなのか。

作り手側は、様々なことを考えながら料理をします。何を作ったら喜んでもらえるか、卵はアレルギーがあるからダメだな、子どもが食べやすいように小さく切ってあげよう、風邪を引いているからお粥にしようかなど、もはや料理を作り始める前から、食べる人を思いながら心を向けているのです。

作り手は、食べてくれる人に心を寄せて料理する一方、食べる側がその想いを上回るほどの心持ちでいることはめずらしく、大抵、作り手の想い>食べる側の感謝、みたいな構図になります。だから、おいしいと言ってもらえない、反応がない、みたいなことがとてつもなく辛いわけです。