島崎ともよです。

今日のテーマは「本当は料理が好きだったはずなのに、今はちょっと疲れちゃってるあなたに」送るお話です。

私が主宰しているオンライン料理教室には、料理が苦手だからうまくなりたい!と言って入会されるメンバーさんと同じくらい「料理に疲れました」という方もご入会されます。

・日々の忙しさに忙殺されて料理をゆっくり楽しむ時間がなくなり、料理をしんどいと感じるようになった人。
・料理が好きだったのに、ご主人の反応もなく感謝もされず、作り甲斐がなくなって、料理を作る意味を見失った人。

理由はさまざまですが、なんとか「料理が好きだった自分」を取り戻すために頑張りたい!と肩に力を入れておられる方がほとんどです。

私は一応料理家ですので、毎日の料理をできる限り手軽においしく、なおかつ体にやさしいもので作っていただけるように導いていきますが、それよりも何よりも、一生続く炊事仕事と上手に付き合いながら、ご自身で軽やかに波を乗りこなしていく方法を知っておいて欲しいのです。

熱中できる時もあれば、料理と向き合えないこともある。どれだけ料理好きな人でも、みんな波があって生きているはずです。私もそうですから。

自分で自分をコントロールしながら、何かに縛られて自分の首を絞めることなく、料理と共に生きる人生を楽しめるようになること。それが結果として、心身ともに健康でいられるご飯作りができるようになることにつながると思っています。

料理が上手に作れるようになることよりも、要領よく料理ができるようになることよりも、無添加やオーガニックにこだわることよりも、もっと大事なこと、大切にした方がいいことを、ここから数回に渡り連載で書いていきます。全文はgozenオンライン料理教室のメンバーさんのみに公開しておりますので、ご了承くださいませ。(入会タイミングは、毎月20-25日としており、過去レシピやコラムにも全てアクセスいただけます。)

フォロワーさんの一人からdmが送られてきました。

「子育てと仕事、家庭の両立がキツく、キッチンに立つのすら無理な時があります。頭が全然回らなくて、何を作ったらいいのかもわからないのです。スーパーに行ってもアイデアが湧き上がってきません。子どもにも夫にもお弁当を持たせないといけないので、日々の料理が苦行に思う日も多いです。ともよさんにもそんな時はありますか?もしそうならどう対処されますか?気分がのらない時にも気楽に作れて、体にもいいレシピがあれば教えてください」

きっと今は、いろんなことを抱えこみ大波にのまれているタイミングなのでしょう。そんな中もがくのは苦しいでしょうから、波が落ち着くまでご飯作りから逃げたらどうですか?と返信しました。

「どんなことがあっても休まず作ってきました。手作りのお弁当は私から家族への愛情だと思っていましたし、私の責務だと逃げる選択肢はありませんでした。」と。

なかなかのドMさんでしょうか(笑)作るの自体がしんどい時に、それを解決するレシピを欲しがられても「ありません。まずはゆっくり休んで、早く元気になりますように!」としかお答えできません。気分が乗らない時点で、絶対気楽にご飯は作れませんから、私なら作ること自体を放棄します。

まず、お弁当を持たせないといけない!と決めつけているのは誰でしょうか。

もし仮に、あなたが突然倒れて入院することになったら、ご主人やお子さんはどうされると思いますか?自分で作れないなら、コンビニご飯やカップラーメンで凌ぐんじゃないでしょうか?それでいいじゃないですか。ご主人に、どうしてもしんどくてご飯が作れないから、コンビニご飯でも買ってくれる?とお願いしてみたらどうでしょう。お子さんなんかは、むしろ喜んでくれるかもしれません。

手作りごはん、無添加ごはんに傾倒するあまり、余裕を失っては元も子もありません。数日コンビニごはんやカップ麺を食べたところで、死に至るような状況にはならないでしょう。

それ以上に、気分が乗らない状態で作ったご飯の出来上がりって、どんな状態か想像してみてください。きっとネガティブなエネルギーが入っているでしょうし、モヤモヤしながら作ったのならモヤモヤ味のごはんになっているはずです。

メンバーさんには、何度も何度も言っていますが、そんなご飯を食べさせられる家族は正直ありがた迷惑。いくら無添加やオーガニックにこだわっていたとしても、作り手の負のエネルギーで全ては帳消しです(いや、むしろマイナス!)高いお金を払っていい食材を買っても、その恩恵を受けられるかどうかは、みなさんの心持ちで決まるんじゃないでしょうか。手作りとか無添加という前に、自身の心を整えてキッチンに立つことが先かもしれません。

嫌な気持ちのまま作り出さない!それは、私がとても大切にしていることです。

逃げは悪いことではない

少し、私の話をしようと思います。

仕事のための料理はできても、家族のためのごはん作りに力が湧かないことはよくあります。何度も冷蔵庫やパントリーを開けては閉めての繰り返し。米びつを開けて米を炊こうか炊くまいか、それすら決められないこともあります。

そんな時は、さっさと「今日、何作ったらいいかわかんなーい!!」「もう、ご飯炊くのすら無理ー!!」と、発狂してご飯作りから逃げることにしています。その時によって、宅配を頼んだり、外食したり、冷凍ピザを焼いたり、夫が代わりに作ってくれたり、と逃げ道が違いますが、逃げることを決めると途端にスッキリします。

たまに、「もうやだー!!」と口に出したことでスッキリして、ちょっと休憩してる間に「さて、ご飯でも作るか!」という気持ちになったりもします。

少し前、ホルモンバランスのこともあってかご飯を作る気力が一ミリもなくて、イライラ。「ママはもう何作ったらいいか分かんないよー!」と、お腹を空かせている娘に愚痴りました。ごはんはある?卵は?と聞かれ、「全部なーい(涙)」と言ったら、じゃあバナナで大丈夫だからと。テレビを観ながら子どもたちとバナナを食べ「宅配でも取るかぁ」と調べていたら面倒くさくなり、バナナでお腹も満たされて、いつの間にか元気を取り戻していたこともあります。

ご飯作りから逃亡した時間は30分。その後は、ささっとパスタを作って「やっぱり自分が作るご飯が一番おいしいわ」なんて自画自賛しながらおいしくいただきました。

そうやって、子どもみたいにヤダヤダ!と一旦感情を吐き出してブレイクを取る、私がよくやる手法です。疲れたら、一旦休む。鉄則ですが、お料理のこととなると、なぜか忘れてしまう人が多いのです。

「無添加」とか「オーガニック」に興味があったり実践している人には、頑張りすぎな人が多い印象です。手作りじゃないとダメだ!出来合いのものを買う自分は許せない!と勝手に決めつけている人もいらっしゃいます。何かに縛られて心の余裕を無くし、余白なく必死でいる方が、よっぽど毒だと思います。

島崎 ともよ料理家/gozen主宰

1985年生まれ。新潟県出身。料理研究家。2018年に家族でベルリンへ移住。 2022年1月よりオンライン料理教室『gozen』をスタート。