今月も、妄想あさこ食堂へようこそ。gozenのメンバー兼スタッフ(コンテンツクリエイター)のAsakoです。

「妄想あさこ食堂」とは
gozenのコミュニティメンバーさまが主人公となった読み物です。その方の暮らし方や考え方を覗き見ることで、新しい視点を見つけたり、勇気や力、ヒントが得られるかも!コラムの最後には「もしこの主人公が、架空のあさこ食堂に来てくれたら」を妄想しながら、メニューを考えておもてなし。時にはレシピもシェアします。

今月は、ドイツ・フランクフルト在住のはるかさんをお迎えします。

家庭と仕事、幸せと不安

「わたしずっと、迷走してきたんですよね」

旦那さんの駐在帯同でドイツ・フランクフルトに住み始めて丸6年になるはるかさん。渡独前は自身も保険関係の会社でバリバリ働いてきて、いま現在もその会社を休職中の身だという。ドイツに来てから5歳と2歳、2人の子宝に恵まれて家事育児に没頭する毎日。

まだまだ手がかかる子どもたち、ドイツの大らかな育児環境に支えられ楽しみながら育児が出来ているとはいえ、言葉も習慣も目新しい環境での生活はそれだけでエネルギーを要するのだろうなと想像できる。でも話を聞いているうちに、はるかさんの「迷走」感は彼女自身の、人生に真摯に向き合う気持ちから出ていたのだと気づく。

我が子たちは心の底から愛おしいし、一緒に過ごす時間は本当に幸せ。今このときが人生の中でもどれほど貴い時間なのかも理解しているつもり。ただ、今後の自身のキャリア形成について、そしてこの先子どもたちの手が離れたときの生活を想像すると、否が応でも湧き上がってくる不安……だから、発酵食講座やフィトテラピーなど、興味を持てそうなことを片っ端から手をつけてきたそう。それが冒頭の、「迷走」という表現になったらしい。

人生のステージの変化に伴い、仕事と家庭の比率を柔軟に変化させることを求められる女性ならではの悩みなのだと、思う。気持ちが分かり過ぎて、遠いフランクフルトで繊細な心を揺らすはるかさんをギュッと抱きしめたくなる衝動に駆られる。

今の積み重ねにある、この先

「でもね、そんな先のことばかり不安がってても仕方ない、と思えたんです」

妄想あさこ食堂の第2話、同年代の子育てをしているなおこさんのコラムを読んで感じたのが「いまこの時を愛しむ」ことの大切さ。ちょうどそんな折に読んだ本で目にした「幸せの先送り」という言葉と、毎日を全力で楽しむ子どもたちの姿も重なり、母として過ごす時間を肯定的に受け止められるようになった。今を重ねた先にこの先があるのであれば、いま現在を丁寧に過ごすことが一番の幸せ。そう思えたらすとんと肩の力が抜けて、全力で育児に没頭する覚悟が持てた。このコラムが不安な気持ちを手放す、その一助になれたのであれば、それほどうれしいことはない。

gozenがもたらしてくれたもの

gozenはまた、そんな思考面だけでなくキッチン仕事でも「不要なものの手放し」に一役も二役も買ってくれた。

ドイツで暮らし始め、日本の食材が簡単には手に入らなくなって以来、味噌や納豆、味醂までもを手作りしているはるかさん。知人のSNS投稿でともよさんの無添加カレールーレシピを目にして、作れるものは自分で作りたい、そんな気持ちで作ったカレールーの美味しさに度肝を抜かれた。ダイエットしたいのに美味し過ぎて止まらなくなるから、旦那さんには「悪魔のカレー」と命名されるほど、家族みんながハマった。だから、これまでオンラインコミュニティには興味がなかったはるかさんも、gozenの入会は迷いなく即決したそう。

コロナ禍のドイツ国内でも日常生活への規制が多かった時期と重なり、毎月更新されるレシピで料理をすることがはるかさんの鬱々とした気持ちを発散させてくれた。中でも、塩だけの野菜スープを作ったときのこと。第二子の娘さんが1歳になる前、それまでは離乳食を別に用意して食べさせてきたけれど、これなら一緒に食べられる、と家族と同じものを食べさせてみた…すると、驚くほど食べたそう。美味しかったのはもちろんだけど、家族と同じものを食べている、その経験がさらに娘さんの食欲を後押ししてくれた。家族みんなで同じものを食べられるのは、作る母にとっても食べる子にとってもうれしいこと。母子手帳に書かれた一般的な手順やルールに縛られがちな離乳食、でも本来は子どもそれぞれの好みや成長具合に合わせて様子を見ながら、母にも無理ないように進めたらいい。そんな目から鱗が落ちるような気付きに、それまで自分を縛っていたルールから解放されたような喜びがあった。

砂糖、塩、酢、醤油、味噌……昔ながらの基本調味料さえあれば、家族みんなが口福な食卓が叶う。そう思えるようになったのも、gozenと共に歩む食生活で気付けたこと。市販のコンソメや中華だしのもと、これまで当たり前に必要だと思っていたものをキッチンから手放し、日本への帰国時も買って帰る調味料が極めてシンプルになった。シンプルって無敵、持ちものは軽いに越したことない、とわたしも思う。

手放して、軽やかで居ること

はるかさんと話していたら、わたしたちは今まで少し抱え過ぎていたのかなと、気づいた。社会や周囲から期待されるお母さん像や女性像、こうあるべきというルール。それらに縛られるあまりに、そこに沿えない自分への不満や、先への要らぬ不安を感じてしまう。

でもそんな不満や不安も、ちゃんと自分に向き合って生きようとするからこそ出るもの、とも思う。だけど、もう要らないよね。自身と向き合って少しずつ不要なものを手放し始めたはるかさんと話していたら、わたしもまだまだ軽くなれそう、とこの先が楽しみになった。

妄想あさこ食堂へようこそ

はるかさんをお迎えした今月の妄想あさこ食堂は、休日のカジュアルなランチ。日ごろお子さんと一緒に過ごす時間の長いはるかさん、たまには少しだけ旦那さんにお子さんたちのことをお願いして、女だけで「それ分かるー!」なんて話で盛り上がるランチタイムを過ごせたら。

ランチのメニューは、レモンクリームのスパゲッティ。わたしが感じたはるかさんのイメージカラーは柔らかなイエロー、そんなはるかさんにぴったりな爽やかで軽いスパゲッティを。添えたのは、きゅうりや人参のコリコリをアクセントにした大豆と鶏ささみのマリネ。

そしてお楽しみのデザート時間には、ブラウニーとオレンジのプレートパフェを。「先」に備え過ぎて「今」を置き去りにしないように、二人でランチタイムを思う存分楽しめる時間を過ごしたいな。