みなさん、こんにちは。今月お届けする「一生モノの手仕事レシピ」のお時間です。

今回ご紹介するのは、初夏から夏にかけて、我が家の冷蔵庫に絶対に切らさず入れてあるもの。自家製のジンジャーエールシロップです。かれこれ10年以上前から同じレシピで作り続けている、我が家の大事な、大事な定番アイテム。

「手仕事」なんて言葉を使うと、なんだかもの凄く丁寧で、オーガニックな暮らしを実践している素敵な人みたいに聞こえるかもしれないけれど、正直そんなに身構えなくて大丈夫(笑)。私自身、全然丁寧になんて暮らしていませんから!

手仕事と言いつつも、実際のところ、私が手を動かす時間は正味10分そこら。生姜をザクザクとスライスして、スパイスと一緒に鍋に放り込むだけです。「切って、待って、火にかけて、また待つ」。プロセスの大半が「待つこと」だなんてちょっと可笑しいけれど、それがおいしさを作る秘訣。

とはいえ。毎日が目まぐるしく過ぎていく中で、どれだけ作業が短かろうが、こういう「わざわざ作る系」のレシピって、見るだけでちょっと億劫に感じること、ありませんか?

子どもがまだ小さくて、家の中が文字通りカオスだった頃なんて、このシロップを作るために重い腰を上げるのには結構な気合が必要でした。それでも、やっとこさ見つけた10分の隙間に、ドタバタと生姜を刻んでは記憶がないまま瓶に詰め替えていた。

「毎日こんなにドタバタでボロボロなんだから、せめて自分が飲むジュースくらい、安心してゴクゴク飲める最高に美味しいやつがいい!」

…そんな、自分への譲れないご褒美のために、白目を剥きながら必死に生姜を刻んでいたのを覚えています(なんというドMなんでしょう笑)。ドタバタだったけれど、今思い返すと、それはそれでいい時間でした。

でも、子どもたちが大きくなってきて、家の中に少しだけ静けさが戻ってきた今、この仕込み時間の捉え方は随分と変わりました。

まだ誰も起きてこない早朝。窓を全開にして、中庭の瑞々しい緑を眺めながら、鳥のさえずりをBGMに、ただただ生姜を刻む。ササッとやればあっという間に終わる作業だけれど、その時間を惜しむかのように、あえてゆっくり包丁を動かしてみたりして。誰にも邪魔されない、自分だけの贅沢なキッチン時間を思いきり楽しめるようになりました。外の音に耳を傾けながら無心で鍋を混ぜていると、散らかった頭の中がすっきりとリセットされていくようで本当に気持ちがいい。なんとも幸せな時間です。(現実は、このあと1時間もすれば子どもたちが起きてきて喧嘩なんてし始めて、鬼婆に変貌するわけなんですけど…。とほほ。)

時間をかけて凝ったものを作ることだけが手仕事じゃない。10分で仕込んで、あとは時間が美味しくしてくれるのを待つ。この「適度なサボり感」があるのに「圧倒的に安心で美味しい」こと。これこそが、私がこのレシピを10年も愛し、これからも作り続けたいと思う理由です。そして、年を重ねるにつれて、同じレシピへの思いが変化していくことも愛おしく感じます。

ちなみに私はお酒が飲めないので、シンプルに炭酸水で割っていただきますが、以前このシロップをお裾分けした酒好きの友人からは「ラムやバーボンを垂らすと最高にうまいんだよ!」なんてタレコミも届いています。

みなさんの夏の定番にも、ぜひ。