みなさん、こんにちは。ベルリン在住の料理研究家、島崎ともよです。

さて、今回はウクライナ人から伝授してもらった「本場のボルシチ」レシピをご紹介します。

ウクライナやロシアで食べられる本格的なボルシチのレシピだそうですが、いわゆる日本の豚汁のような感じで、基本の材料以外は決まった作り方も具材もない「家庭の味」があるボルシチ。

ドイツの語学学校で出会ったウクライナ人とロシア人の友達にお願いしてレシピを起こしてもらい、試作と質問を繰り返してレシピが完成しました。

✔︎土臭さを減らすビーツの火の入れ方
✔︎ビーツの発色を保つ方法
✔︎作りおきしたボルシチの火の入れ方

など、作り方の大事なポイントも教えてもらったのでシェアしたいと思います。野菜の旨みがグッと引き出され、体の芯まで染みる味わいです。

しかも、嬉しいのが「手に入りやすい材料で作れる」ところと「味付けが塩だけ!」というところ。
具材のシンプルなおいしさを、ぜひ堪能してみてください!

Ingredients

  • 牛すね肉(できれば骨つきで):500g
  • 生ビーツ:1個(約200g)
  • トマト:中1個
  • キャベツ:200g
  • 玉ねぎ:中1個
  • にんじん:小1本
  • にんにく:1かけ
  • バター:20g
  • 天然塩:適量
  • ローリエ:1枚
  • 黒胡椒:少々
  • サワークリームやスメタナ:適量

Directions

  • [ 牛肉を茹でる ]
    • 骨付きの牛スネ肉をそのまま鍋に入れ、たっぷりの水を入れて茹でこぼして下処理をする(沸騰させて、アクや臭みを出すこと)アクが大量に出てきたら、アクごとザルにあげ、肉に付いたアクは流水できれいに洗う。鍋についたアクもきれいに洗っておく。
    • 鍋に牛肉を戻し、肉がかぶる程度の水を入れて40-60分ほど煮る。(肉の部位などでも変わるので、要調整。圧力鍋がある人は肉を茹でるところだけ圧力鍋で茹でるのもあり!)

※肉の柔らかさの好みはあると思いますが、現地の人は基本的にホロホロになるまでは煮込まないそう。60分も煮るのか!?と驚かれましたが、日本人はきっと柔らかい肉を好む人が多いので、私のレシピではしっかり煮込む方法を採用しています。基本的には、肉の歯応えを残して煮るよとのこと。ご参考まで。

  • [ 野菜を用意する ]
    • 生ビーツ、キャベツ、玉ねぎ、にんじんを千切りにする(玉ねぎとにんじんは一緒にしておいてOK。ビーツとキャベツは別々で置いておく)
    • トマトはダイス状に切る
    • ニンニクはみじん切りにする
    • ビーツを小鍋で蒸し煮に。蓋付きの鍋にバターを10g溶かし、千切りにしたビーツと塩小さじ1を入れたら軽く混ぜる。蓋をして8割方火が通るまで弱火で10-15分ほど煮る。途中焦げ付きそうなら、水を〜50ml程度加え、焦がさないように気をつける。※塩がビーツの旨みを引き出してくれ、ゆっくり弱火で火を入れることで旨みと甘みがぐっと増し、土臭さが無くなるそう!とても重要な工程とのこと。
    • ダイス状に切ったトマト(なければトマトピューレやホールトマトでもOK。ケチャップはNG)を加えて数回混ぜ、火を止め蓋を閉めずに置いておく。トマトが、ビーツの発色を良くするために一役買ってくれ、ビーツの色落ちを防ぐ役割になる。
    • フライパンにバターを10g溶かし、みじん切りにしたにんにくを入れ香りを出す。続けて千切りにしたにんじん、玉ねぎ、キャベツ半分、塩小さじ1を入れ、全体に油が馴染んでしなっとするまで中火で炒める。キャベツを半分残すのは、具材の歯応えも残すため。ボルシチはクタクタになった具材を楽しむものではなく、野菜類の食感も楽しむものだそう。
  • [ 具材を合わせて煮込む ]
    • 牛肉がお好みの硬さになったら、肉を取り出し、骨を取り除いて一口サイズに切る。鍋に牛肉を戻したら、蒸し煮にしたビーツ、炒めた野菜、残りの千切りキャベツを入れて、具材がかぶるくらいの水とローリエ、黒胡椒を追加し、沸騰させずに弱火から中火くらいで20分ほど煮る。
    • グツグツ煮るのはNG。せっかくのビーツの色が悪くなってしまうのと、野菜の歯応えがなくなってしまうため。またボルシチはあくまで具材の量>水分量で、スープを飲むというよりも具材を食べるもの。なので、水の入れすぎにも注意!
    • お好みの塩加減に調整する
    • お皿に盛り付け、サワークリームをのせて出来上がり。

温め直しは食べる分だけを小鍋に移して!

残ったボルシチを美味しく食べるには、大鍋のまま温めるのはNGだそう。現地では、とても大きな鍋で1週間くらい続けて食べるくらいの量を作るらしく(私のレシピの2-3倍量くらい!)、大鍋のまま温めると、せっかくの野菜の食感が悪くなったり、ビーツの発色が悪くなるとのことで、食べる分だけを小鍋に移して温めて食べるのがおすすめ。

味付けは塩だけだからこそ、いいものを使って

このレシピでは、塩だけを使って食材の旨みを引き出し味を整えています。そのため、美味しく作っていただくには、使う塩のクオリティがとても重要なのです。ぜひ、食卓塩などの化学塩ではなく、天然塩を使って作ってみてください。